【パリ便り】刑務所出所者を積極的に雇用。チャリティとモードが出合うヴィンテージショップ『BIS』
歴史を重んじ、古き良きを大切にするフランスのメンタリティは、ファッションにも現れています。使い古されたセカンドハンドの古着から、年代物の希少性の高いアンティークアイテムを揃えたショップ、専門業者が出店する週末の蚤の市など、パリはヴィンテージの宝庫。特にアーティストやクリエイターが多く集まる地として知られるマレ地区には、独自のコンセプトを持ったヴィンテージショップが数多く存在します。
そんな中で、2013年のオープン以来パリジェンヌや業界人に愛されているのが北マレに店を構える『BIS(ビス)』です。
120平米の店内には約1500品の古着が並び、レディース・メンズ・キッズコーナーが設けられ、靴や帽子といったアクセサリーも揃っています。古着屋らしい雑多な印象ではなく、ミニマルですっきりとしたモダンな雰囲気。価格は3ユーロから200ユーロ程度と幅広く、中には有名ブランドの高級品も。
毎日約300着の新しい商品が到着するとあって、足繁く通う常連客も多いのだとか。しかし、BISが人気を博す理由はアイテムや店内だけでなく、“チャリティ×モードの交差点”と掲げるコンセプトにこそあるようです。
BISに並ぶ商品は慈善団体に寄せられた寄付品。年間350万着も集まる洋服の中から、状態の良いものを選別し、BISのアトリエで洗浄・補修して店頭に並びます。アトリエとブティックには数名の正社員のほか、常時15人ほどの契約社員が勤務しているという。
最長1年間の契約社員として受け入れるのは、刑務所出所者や長期失業者、学歴が足りず職に就けない若者など。組織での働き方や社会のルールを身につけ、社会復帰を助けることが一番の目的だと言います。
BISの店名は、ラテン語の“連帯”という意味から引用。アイテムの新旧や懐具合に関係なく、誰もがモードを楽しむための連帯を意味します。さらに、社会的に困難な立場に置かれた人々の雇用創出にも力を入れており、社会復帰を助けるための連帯にも繋がっているのです。
良き連鎖は従業員からお店へ、お客さんへ、そして社会へと影響を与えパリの街を活発にします。昨年にはパリ市内に2店舗をオープン。街の活性化と雇用創出、モードを楽しむフランス人のメンタリティは時代を超えて連なろうとしているようです。
BIS
7 Boulevard du Temple 75003 Paris
19 Rue Lamartine 75009 Paris
営業時間:10時〜19時(日曜定休日)
http://www.bisboutiquesolidaire.fr/bienvenue