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【ドイツ便り】難民だって仕事がしたい!ドイツの難民統合プロジェクト

May.08.2017

皆さんは最近、ドイツと聞いたら何を思い浮かべますか?政治関連で関心が高まっている話題と言えば難民対策でしょう。特に2016年はドイツの亡命申請者数が74万5545人を記録し、注目を浴びました。2017年に入ってから3月まで申請を出した人数は6万157人と、今のところ去年の8%に収まっています。(ドイツ連邦移民・難民庁調べ)

亡命申請が済んだら、次にドイツ語の習得、そして仕事探しが成人難民が辿る社会統合のステップとなってます。ドイツにやってくる難民のほとんどは母国の内戦や経済危機が終わってもドイツに残るだろうと政府は推測しているため、自立した生活を送れるように手助けをする必要があります。(ドイツに入国してから職に就くまでには少なくとも2年かかってしまいますが。)

さて、2016年9月の時点では34万6千人の難民が無職でした。(Focusオンライン版調べ)その内、約半分は難民の中でも割合が多いシリア、アフガニスタン、イラク、エリトリア、イラン、ニゲリア、パキスタン出身です。無事に就職できた人は主に清掃、物流、倉庫管理、調理、販売、オフィス事務の仕事をしています。

ドイツ政府はシーメンス、オペル、フォルクスワーゲンなどの大手企業とも話し合い、積極的に難民を職員もしくは職業訓練生として受け入れる対策を取り始めました。それでも約35万人に仕事を与えるのはいくら大手企業でも難しいですよね。幸い、ドイツには難民の後ろ盾をしてくれる民間の団体や小企業もたくさんあります。小さい枠の中で興味深いプロジェクトが立ち上がることがあれば、母国で学んだことをドイツでも発揮できるように後押ししてくれる企業もあります。以下、3種の難民の就職と社会統合の成功例を紹介します。

 

  • ベルリンのホテル・ウートピア
Prinzip Heimat e.V.というドイツ人女性4人が立ち上げたホテルプロジェクト。2018年にベルリンでホテルを開館し、3分の2の従業員を難民で形成するという社会事業ビジネスです。ホテル名はHotel Utopia(ホテル・ウートピア、ドイツ語風読み方)。難民におもてなしをさせることによって、社会の隅ではなく中心に立たせることを目的としています。

実は隣国オーストリアの首都、ウィーンには既にこのようなコンセプトで経営されているホテルが存在するのです。Hotel Magdasという宿泊施設ではなんと14か国から来ている従業員が一緒に働いています。立地もコストパフォーマンスも良いので、私もいつか泊まってみたいです。



Hotel Utopia from Katrin Elsemann on Vimeo.

(ホテル・ウートピアのコンセプトVR。英語の字幕付き。)

 

2)フランクフルトのStitch by Stitch

ドイツのファッションブランドのサンプルや小規模のコレクションを作成するStitch by Stitchは2人のドイツ人女性が作り上げた仕立屋工房です。縫製や仕立ての経験が豊富な難民を雇い、言語力がまだあまりなくても手に職を与えることで社会的自立を目指しています。また、ドイツではEU圏外で取得した学校の卒業証明書などが認められないケースがあります。証明書の不認可は難民の仕事の選択を更に狭めてしまっていますが、この仕立屋工房では書類ではなく、経験を重視し、小さなチームで協働しているのです。若い難民には仕立ての見習いとして職業訓練やインターンシップをする機会も与えています。

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©Stitch by Stitch

ドイツでは難民に社会貢献をしている企業及び団体に賞を与えている政府機関や財団もあります。ホテル・ウートピアの開館準備をしているPrinzip Heimat e.V.はAct for Impact(社会事業支援をしているボーダフォン財団と社会起業家アカデミーが与える賞)を優勝、Stitch by Stitchはヘルティー財団(Hertie Stiftung)が与えている「統合賞」を受賞しました。このような賞にはもちろん賞金も付いてくるので、それぞれのプロジェクトの経済的支援にも繋がっています。

 
  • 元シリア難民がワイン女王に
2016年8月にドイツで話題になったニュースがあります。ラインラント・プファルツ州、トリーアで難民女性のニノルタ・バーノさん(26)が同地方の「ワイン女王」に選ばれたのです。ドイツでは外国人が歌番組やモデルコンテストなどで優勝することは珍しくないのですが、難民がワイン女王になったのは初めてのこと。難民のイメージを明るく取り上げるニュースに心がほっこりした人も多かったのではないかと思います。

バーノさんはシリアの中でも少数派のキリスト教徒。2012年に姉と共にドイツへ逃亡し、まずはドイツ語を習得しました。シリアで学んでいた法学もドイツで挑戦してみたものの、法律の違いがあるため一から勉強しなければならなかったので、大学を中退。ワイン祭でアラブ語の通訳などをしているうちに、ワイン造りに興味を持ち、学び始めたという経歴を歩んでいます。現在はシリアに残した家族も渡独し、皆ドイツで暮らしています。


©ロイター/Ralph Orlowski

難民の社会統合はこれから10年、いや30年から50年もかかるドイツの壮大な挑戦だと私は推察します。難民を受け入れるドイツは難民と共に成長していく道を選びました。しかし、難民から見たら行政機関の処理には時間はかかる、言語習得と仕事探しには時間も労力もかかるー残念ながらドイツにやって来てもいくつもの壁を乗り越えなければなりません。

締めくくりにミュンヘンでジャズバーを経営しているオーナーがニュースレターに書いた一言を和訳します。コンサートのプログラム以外に政治的なテーマも取り入れているので、いつも興味深く読んでいます。

「私と難民にはたった一つの違いがある。私は運がよく、モガディシュ、パルミア、ガザなどではなく、ミュンヘンに生まれることができた。私はくじ引きで金賞を当てたが、そのために特別な努力はしていないし、取るにふさわしいこともしていない。ただ、自然と起きたことだ。」

難民だって私たちと変わらない人間。ただ平和に暮らしたいだけ。彼らの困難を少しでも楽にしてくれる人には拍手を送ると同時に、私自身も寄付やボランティアをしたことはありますが、もっともっと貢献することを目標としています。

 

 

プロフィール
町田文
1986年生まれ、東京都出身。ドイツ・ミュンヘン在住。マーケティングの仕事をする傍ら、ドイツのライフスタイルや観光に関するライティング、翻訳を行っている。自身のウェブサイト「ドイツでハンドメイドライフ」ではドイツ語の口語表現や現地情報を発信。

【ドイツ便り】つい行きたくなってしまう!付加価値のあるフリーマーケットとは

Apr.05.2017

きっと誰でも一度は行ったことがあるフリーマーケット。私が初めて行ったのは高校生の時です。晴れた代々木公園でTシャツやアクセサリーを買った覚えがあります。その後はドイツでも週末に大きな広場で開かれる蚤の市を何度か訪れました。

しかし近年、ドイツではフリーマーケットの差別化が進んでいる傾向が見られます。青空の下で開催?いや、室内の市場もあります。良いものに出会いたいなら早起きが必須?いや、開催時間が午前からだとは限りません。それではどんなフリーマーケットがあるのでしょうか?

1)夜遊び感覚で訪ねる「夜のフリーマーケット」

Nachtkonsum(ナハトコンズーム)とはドイツ各都市で夜に開催されるフリーマーケットの名称です。イベント会社0049 Projekt GmbHが主催者で、デュッセルドルフ、ケルン、ミュンヘンなどの7都市で定期的に行われています。場所は改装した元工場のホールなど、広く使え、あえて洗練されすぎていない所を選択。17時にオープンし、23時までライブもあれば、バーも開いているので夜遊びとショッピングを統一したコンセプトが若い世代に支持されています。

出店したい人はホームページで予約し(2m²から。1m²あたり約11-15ユーロ)できます。ただ、Nachtkonsumは他の市場と違って、お客さんは3ユーロの入場料を入口で支払わなければなりません。

Nachtkonsum1 Nachtkonsum2
©0049 Projekt GmbH

 

2)隣人同士、一致団結!「お庭のフリーマーケット」

春から秋にかけてミュンヘンでは各地区で「お庭のフリーマーケット」(Hofflohmarkt)が開催されます。お庭とはまさに住んでいるマンションの中庭や入口を指し、指定された日に指定された地区の住民が自分たちの敷地内でフリーマーケットを行ってよいことになっているのです。

企画者はStadtfavoritenというミュンヘンのオンライン・ガイドなどを運営している方で、この種のフリーマーケットはミュンヘン以外の都市でも行われるようになりました。

ルールはいたって簡単。大家さんもしくは管理人さんの許可を得た後にウェブサイトから登録し、15ユーロを払えば何人でも参加できる仕組み。一応、歩道などには出ないように、と注意書きされていますが、皆さん気にせず出店しています(笑)

私がお庭のフリーマーケットを好きな点は人混みが多いマーケットと違ってのんびり買い物ができる点です。また、一軒見たら次の「お庭」まで少し距離があるので、散歩しながら楽しめます。場所によっては出店者の手作りケーキも食べさせてもらえるから嬉しい!

Hofflohmarkt1
Hofflohmarkt2
ドイツには他にも人気のファッションブロガーが出店する「ブロガー・フリーマーケット」など、色々な種類の蚤の市が存在します。それぞれが差別化を図り、特別な企画を立てるので、商品がたとえ「ただの使い古したもの」でも一つのイベントとしてつい足を運びたくなります。さて、4月からまたフリマ巡りを始めるぞー!

 

プロフィール
町田文
1986年生まれ、東京都出身。ドイツ・ミュンヘン在住。マーケティングの仕事をする傍ら、ドイツのライフスタイルや観光に関するライティング、翻訳を行っている。自身のウェブサイト「ドイツでハンドメイドライフ」ではドイツ語の口語表現や現地情報を発信。

【ドイツ便り】働いていてもラクラク自炊!ドイツで話題のオンラインサービス

Feb.20.2017

この間あった女子会での話題。フルタイムの仕事と夜間大学の両立に励んでいる友人が珍しく料理をし始めたことを語っていました。

「Hello Freshの材料とレシピを元に作ったら簡単にできて、おいしかったよ」と満悦。内容は「ただの」サラダでも、フルーツやナッツを含んだものでこだわりを感じることができたのだとか。

Hello Freshとは最近ドイツで絶賛されている食料品の宅配サービスです。オンラインスーパーや農家のウェブショップなどとの違いを簡単にまとめます。

・毎週8種ほどのレシピが紹介され、2人もしくは4人分の材料が送られてくる

・過去と次週のレシピはネットで閲覧可能

・1週間に3もしくは5食分の注文が可能

・値段の相場は2人、3食分だと約40ユーロ(=約4820円)

・調理時間は20-45分に限定

 

サービス内容をビジュアル化したビデオはこちら



紹介される料理は幅広く、例えば生野菜と鶏肉のトルティーヤ、豚ヒレとマッシュポテト、しめじやチンゲン菜を使ったアジアン風リゾットなど多国籍料理が主流です。

Hello Freshの共同創設者ドミニク・リヒター氏によると当オンラインサービスの顧客層には下記の特徴が見られます。(http://www.startstories.de/artikel/interview-mit-gruender-dominik-richtervon-hellofresh/参照)

・健康的な生活を心がけている

・週に3-5回は自炊したい

・なるべく食べ物を無駄にしたくない

・共働きの夫婦やカップル、子持ちの家族(30―50歳)

 

自炊と買った食材を食べきることは働いていると確かに難しいですよね。実際、私も平日に料理をすることが少なく、夕方は簡単なサラダや果物、もしくは外食で済ませています。そのため週末にまとめ買いした野菜が腐ってしまうことも度々あります。

このような問題の解決策はHello Fresh以外にもあります。それはKochhaus(コッホハウス)というコンセプトスーパーです。KochhausはHello Fresh同様、限定された食べ物の食材を2人もしくは4人分、その場で購入できるシステムです。

店内には下のようなコーナーが8つほど設置されていて、黒板に料理と必要な材料の写真、手前のテーブルにレシピと材料が置かれています。テーブルの横には小さい冷蔵庫もあり、肉やバターなどが入っています。

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誕生日にKochhausのクーポン券をもらったので、一品作ってみることにしました。この日は鴨肉のマンゴーソース和えとライムとコリアンダーで味付けしたうどんを選びました。こちらもまさに多国籍料理!ドイツでは近頃、うどんやそばが出回っているのですが、ドイツで売られるうどんは太くなく、平たいパスタのようなものが多いです。

今まで経験したことがない食材のコンビネーションでしたが、たっぶり生姜を含んだマンゴーソースがお肉に合い、うどんもライムの味が効いていて、おいしかったです。お店でもらったレシピは早速料理本とともに保管します!

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多忙な中で料理をさぼらず、調理を楽しむサービス。健康だけでなく、多彩なレシピにより自分の今までの食生活を見直すきっかけにもなります。Hello Freshにおいてはヨーロッパだけでなく、北アメリカにも広まり、人気が上昇中です。このような宅配サービスは日本でも通用するかもしれませんね。

 

 

プロフィール
町田文
1986年生まれ、東京都出身。ドイツ・ミュンヘン在住。マーケティングの仕事をする傍ら、ドイツのライフスタイルや観光に関するライティング、翻訳を行っている。自身のウェブサイト「ドイツでハンドメイドライフ」ではドイツ語の口語表現や現地情報を発信。

 

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